「やっぱり、今日も返信無いか…」
私が待っているのは、元カレの徹也からの連絡。
徹也とは3年も付き合ったのに、今では連絡も取れない。
別れた原因は、些細な喧嘩だった。
付き合って3年の記念日、私も徹也も来年には30歳になる。
そろそろプロポーズ…そう思っていた。
けれど、プロポーズどころか、仕事で忙しくて会えないかも。と言われてしまって、ショックで徹也に怒ってしまったのだ。
「徹也は全然私達の将来について考えてくれてないよね」
「将来ってなんだよ…」
「もう付き合って3年なんだよ?普通の女の子だったらそろそろ結婚したいって思うよ。徹也はそういう気持ち全然分かってくれない。」
「そんなの、麻衣がちゃんと言ってくれないと分からないよ…」
こんなに長い間付き合ってて、言わないとわからないの?
そう思うとショックで、徹也にひどいことを沢山言ってしまった。
そして、私はフラれた。
今までの喧嘩と同じで、すぐヨリを戻せると思っていたけど、現実はそうはいかなかった。
連絡も何度もしてみたけど、既読無視が何度も続いている。
まさか結婚を考えていた彼氏に、こんな形でフラれるなんて思っていなかった。
あんなに大好きだったのに、感情的になってしまったことを、ずっと後悔している。
やっぱり彼が好き
カレンダーを見ると、今日で別れて半年。
そろそろ、彼氏をつくらないヤバイかも。
そう思って、友達に連絡してみると、いい人紹介するよ!と言ってくれた。
友達を通じて連絡先を交換したのは、私の2つ上の男性。友達の大学時代の先輩だという。
LINEをしていると、物腰がやわらかくて、優しそう。
すぐにデートに誘われて、週末デートをすることになった。
この人のことを好きになれたら、徹也のこと忘れられるかも?
そんなことを期待しながら、デートにでかけた。
「麻衣さんは、趣味とかあるの?」
「昔から絵画とか、アートがすごく好きで、美術館巡りはよくしますね。美術館とか、行ったりしますか?」
「そうなんだ、そういうの好きな人いるよね。俺は全然芸術とか分からないから。」
「そうなんですね~。」
「…。」
会話が盛り上がらない。
いい人だけど…なにか違う。
徹也だったら、私から何か言わなくても、会話が弾んだのにな。
徹也のことを忘れるためにいったデートだったのに、徹也のことを思い出してばかりの1日になってしまった。
やっぱり、忘れられないよ…。
占いなんて当たるわけない
やっぱり私には徹也しかいない。
そう思うといてもたってもいられず、復縁についてずっと調べていると、ある占いを見つけた。
いっそこのまま記憶が消えたら…
確かに、あの記憶、消したい。
あの記憶が消えてまた徹也と出会えたら…その時は徹也とやり直せるかも。そう思ってしまい、ドキッとする。
あの人が今考えていることを教えますよ。
そんなのわかるわけないよね…そう思いながらも、試しに占ってみた。
彼はまだあなたに未練を持っています。なぜあの時あなたの気持ちに気付いてあげられなかったんだと後悔していますよ。ですが、プライドが邪魔してあなたに未練があるような素振りは見せたくないみたい。
ですが、もうすぐあなたは仕事帰りに寄ったカフェで彼と再会しますよ。そこからあなたたちは、またお互いに惹かれていくでしょう。
確かに徹也はプライドが高かったけど…。
こんなに都合よくいくわけないし…当たるわけないよね。
そう思って、サイトを閉じた。
まさか、こんなところで…
「あー…今日も疲れた…」
ここ最近、残業が続いている。
今日は疲れたし、コンビニで新作スイーツでも買って帰ろうかな…
そう思って帰り道を歩いているときにふと、あの占いを思い出した。
会社帰りにカフェで出会う、か。
徹也の家も勤めてる会社もここから遠いのに、いるわけないよね。
そう思いながらも、期間限定のケーキも食べてみたいし…そう思ってカフェに入った。
ケーキを注文して、席でスマホをいじっていると、突然話しかけられた。
「ここ、座ってもいい?」
そう話しかけてきたのは…徹也だった。
「え…」
「久しぶり。声かけちゃった」
目の前に座った徹也は、前よりも大人っぽくなった気がする。けれど、話してみると昔のままの徹也だった。「なんで連絡を無視してたの?」そう聞くことも忘れるくらい、居心地が良かった。まるで付き合ってたときみたい。
「仕事の調子はどう?」
「うーん…前とそんなに変わらないかも。」
「麻衣、どんくさいからなあ(笑)」
「なにそれ!ひどい!」
他愛もない会話だったけど、昔を思い出して胸がいっぱいになった。
「ごめん、そろそろ行かなきゃ。じゃあ、また。」
「あ…うん。」
「…また、連絡してもいい?」
「えっ。」
「ごめん、俺ずっと連絡返してなかったよね。図々しいかな。」
「ううん、そんな事ないよ…!」
「ありがと。」
徹也はそう言って、昔と変わらない笑顔を見せた。
私は、徹也がいなくなったあとも、しばらくカフェでぼうっとしてしまっていた。
久しぶりに話して再確認した。
私、やっぱり徹也が好き。
復縁するにはどうしたらいい?
それから、たまに連絡を取ったり、徹也の仕事が早く終わった日に食事をしたりする関係が続いていた。
嬉しいけど…徹也の本心が分からない。
友達に戻ったってことなのかな。でも私は、友達じゃなくて、徹也の恋人に戻りたい。
やり直したい、そう言いたいけど…私はどうしたら良いの?
気がつくと、あの占いをひらいていた。
復縁するためには、私は何をしたらいい?その答えが占いには書いてあった。
数回会った後、彼は「やり直そう」と言ってくるはず。
彼は告白は男からするべき、と思っている人だから、あなたからは言い出さず、彼が行動するのを待って。
彼が行動するのを待つ、それが私がやるべきこと。
前の私だったら、「徹也が私のことを好きかどうかも分からないのに」と疑ってしまったけど、この占いはきっと当たる。そう思えた。
運命の日
ある日、会社からの帰り道、徹也から連絡がきた。
「今日、会えない?」
私は「会えるよ」と返信し、徹也の会社の近くへ向かった。
もう徹也と会うのもあれから5回目。
彼の顔を見ると胸が苦しくなって、思わず「ヨリを戻したい」と言ってしまいそうになるけど、そんな時は占いを思い出してグッと堪えた。
いつも通りに食事をした、帰り道。
徹也がいきなり立ち止まった。
「徹也?どうしたの?」
「…」
徹也は私の顔をじっと見たあと、「…もう一度やり直そうか。」と呟いた。思わず、えっ?と聞き返してしまう。
「前は、目の前の仕事でいっぱいいっぱいだったからさ、結婚まで考えられなくて。でも別れてから、色々考えて…やっぱり俺には麻衣しかいないんだなって思った。あの時はゴメン。」
「ううん…私も徹也が忙しいのに全然考えられて無くて…」
「もう一度言わせて。今度は結婚を前提に、俺と付き合って下さい。」
それから…
「今日は早く帰ってこれるから、久しぶりにディナーでも行こうか。」
「本当?嬉しい!楽しみにしてる。」
「うん、じゃあ、いってきます。」
あれから、私達はすぐに結婚をした。
お互いのことはもうすでに知りつくしている私達には、「お互いを良く知る期間」が必要なかったからだ。
今では専業主婦になって、忙しい徹也を支える毎日。
家事をしているとき、もしもあの時カフェで偶然再会していなかったらどうなっていたんだろうと考えることがある。
あの占いをしていなかったら、今でも、来ない徹也からの返信を待っていたかもしれない。
あなたも、復縁のチャンスを逃さないで。
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